高市政権による、まさかの1月解散の報で急に慌ただしくなった今、 少しこのテーマで掘り下げてみたいと思います。
選挙というと、政策や演説、SNS戦略が注目されがちですが、
実際の現場では、地理情報(GIS)が実は多方面で使われ続けています。
本記事では、自治体の選挙事務、政党・候補者側の実務事例だけでなく学術研究の動向も含めて「選挙 × GIS」というテーマを整理してみます。
選挙とGISはもともと相性が良い
選挙は極めて地理的なイベントです。
- 投票所はどこにあるのか
- ポスター掲示場はどこに設置されているのか
- どの地区で票が伸び、どこで伸びなかったのか
これらはすべて「位置」を前提にした情報です。
にもかかわらず、長い間、
選挙関連データは表やPDFとして扱われることが多く、
地理的な関係性が十分に活かされてきたとは言えませんでした。
自治体事例① ポスター掲示場管理
自治体における代表的なGIS活用例が、
選挙ポスター掲示場の管理です。
掲示場は数百か所に及ぶこともあり、
従来は紙地図や都市計画図への手書き管理が一般的でした。
近年では、これをGISデータとして管理し、
- 正確な位置
- 現地写真
- 管理者情報
などを一体的に扱う自治体が増えています。
一部の自治体では、
この掲示場情報をオープンデータとして公開し、
市民や候補者がWebマップで確認できるようにしています。
掲示場管理は地味な業務ですが、
GIS化による効果が非常に分かりやすい分野です。
事例
https://www.esrij.com/industries/case-studies/49648/
自治体事例② 投票所・期日前投票所の配置
投票所の配置も、GISが活用される典型例です。
特に期日前投票所は、
- 住民の移動距離
- 公共交通との関係
- 人口分布の変化
を考慮して設置する必要があります。
国内では、投票区の重心を代表点として設定し、
移動距離を指標にして配置の妥当性を評価する研究や実務事例が見られます。
感覚や経験だけでなく、
数値として「遠い」「近い」を説明できる点が、
GISを使う大きなメリットです。
学術研究から見る選挙カーの効果
選挙カー(街宣車)についても、
日本国内で実証研究が行われています。
例えば、関西学院大学の研究グループは、
実際の市長選挙を対象に、
選挙カーの位置をGPSで記録し、
有権者の居住地との距離関係を分析しました。
その結果、
- 好感度が上がるわけではない
- 一方で、投票行動には一定の影響がある
という結論が示されています。
選挙カーは「支持を高める」というより、
候補者名を思い出させる装置として機能している、
という整理は示唆的です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssp/32/3/32_0955/_article/-char/ja/
政党・候補者側でのGIS的発想
政党や候補者側でも、
明示的に「GIS」と呼ばなくても、
地理的な発想は使われています。
- どの地区を重点的に回るか
- どの掲示場ルートが効率的か
- どのエリアで支持が弱いか
これらはすべて空間的な判断です。
オープンデータとして公開された掲示場情報を、
地図アプリで可視化し、
効率的に回るルートを組むといった事例も報告されています。
紙地図からスマートフォン地図への移行は、
候補者側の行動様式も少しずつ変えています。
https://smartsenkyo.com/
「予測」よりも「理解」のためのGIS
選挙×GISというと、
得票予測や当落予測を想像する人も多いかもしれません。
しかし日本の事例を見る限り、
GISはむしろ
- 選挙事務を安定して回す
- 配置や動線を説明可能にする
- 地域差を可視化する
といった、理解と整理のために使われてきました。
派手さはありませんが、
制度を支える基盤としての役割は確実に存在しています。
まとめ
選挙とGISの関係は、
研究、自治体実務、政党活動のそれぞれで異なる形を取りながら、
少しずつ広がっています。
解散や選挙のたびに注目されるのは結果ですが、
その裏側には、位置情報を前提とした多くの判断があります。
選挙を「数字」だけでなく、
空間として捉える視点は、
今後ますます重要になっていくはずです。
