家計調査から見える、その街の特徴
「この街は、どんな暮らし方をしている人が多いのか?」
地域のことを知りたいとき、皆さんはどのような情報を集めますか?
市役所のHPを見たり、Wikipediaを見たり、地図を開いたり、人口や人口動態を眺めたり…様々な調べ方があるかと思います。今回は、そんな情報収集とは少し違う角度から街を見てみたいと思います。それが「家計調査」です。
餃子の購入額で宇都宮や浜松、宮崎の名前を聞くことがありますよね。では、自分の街では何にお金が使われているのでしょうか。今回は山口市を例に、順位の先を少し覗いてみます。
家計調査と、よく見る「街のランキング」
家計調査は、総務省統計局が全国の約9,000世帯を対象に毎月行っている調査です。家計の収入や支出などを調べ、日本の暮らしの動きを捉えています。
調査では全国から168市町村が選ばれています。一方、ニュースでよく見る品目別の都市ランキングは、都道府県庁所在市と、それ以外の政令指定都市を比較したものです。調査する地域と、ランキングで並べる地域は同じではないんですね。例えば、山口市の数字を山口県全体の数字として読むことはできません。

調査対象の選び方は、統計局の調査概要にまとまっています。すべての家庭に聞く調査ではないので、個々の世帯の支出や、年による振れもあります。ここでは単年の順位ではなく、統計局が公表している2023〜2025年の3年平均を使ってみます。
山口市では、何が上位に来る?
魚や海藻の表から、あじと干しのりを取り出してみました。どちらも二人以上の世帯について、1世帯当たりの年間支出金額を比べています。
| 品目 | 山口市 | 全国平均 | 山口市の順位 |
|---|---|---|---|
| あじ | 2,228円 | 960円 | 2位 |
| 干しのり | 3,474円 | 3,261円 | 8位 |
| 魚介類全体 | 70,748円 | 75,069円 | 37位 |
出典:総務省統計局「品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング」の魚介類・乾物・海藻、大豆加工品等。順位はこのランキングの比較対象都市内での順位です。
あじは全国平均の2倍以上! ここだけを見ると、山口市は魚をよく買う街なのかな…と思います。ところが、魚介類全体では全国平均を下回っています。
この組み合わせが面白いところです。あじの購入額が多いことと、魚介類全体への支出が多いことは別なんですね。目立つ品目を一つ見つけたときは、その品目を含む大きな分類も一緒に見ると、街の捉え方が少し変わります。
「たくさん使う」と「たくさん買う」は同じ?
もう一つ見たいのが、支出金額と購入数量の違いです。同じ表には、あじを何グラム買ったかも載っています。山口市は年間1,359gで5位、全国平均は633gでした。
金額では2位、数量では5位。どちらで並べても全国平均より多いのですが、順位は変わります。購入金額は、買った量だけでなく価格にも左右されるためです。魚の種類や売られ方、買う店が違えば、同じ量でも支出は変わりそうです。
ただ、この表だけで価格差の理由まで分かるわけではありません。「よく食べるから」「地元で獲れるから」とすぐに結びつけるより、まず数量も確かめる。そのうえで、地元の売り場や暮らし方と見比べてみると、調べたいことが具体的になります。
順位の高さと、暮らしの中での大きさ
干しのりは8位ですが、全国平均との差は年間213円です。順位だけだと大きな違いに見えても、金額に戻すと印象が変わりませんか。
反対に、順位はそれほど高くなくても、家計に占める金額が大きい品目はあります。順位は街同士の並び方、金額は暮らしの中での支出の大きさ。どちらを知りたいのかで、見るところを変えたいですね。
私は、地域の特徴を探すときほど、目立つ順位を見つけた後の確認が大事だと思っています。品目の範囲を広げてみる、数量も見てみる、全国平均との差を金額に戻してみる。今回の山口市だけでも、それぞれ違う発見がありました。
自分の街でも見てみよう
まずは統計局のランキングから、気になる品目のExcelを開いて、自分の街を探してみてください。比較対象に含まれない街の場合は、近隣都市の結果をそのまま自分の街の値とせず、話題の手がかりとして見るのがよさそうです。
上位の品目を見つけたら、全国平均とどれくらい違うのか、量でも多いのか、ほかの年でも同じ傾向なのか。そこまで眺めると、ランキングが単なる順位表から、街について考える材料に変わってきます。
「自分の暮らしと似ているな」「そこは少し意外だな」。そんなところから、身近な統計を触ってみてください。


