まちリサーチ #02|街歩きとGISで見るまちの特徴

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地図ではすぐ近くなのに、歩いてみると思ったより遠い。反対に、少し遠回りになるけれど、つい選んでしまう道。普段の移動でも、そういう場所はありませんか。

私は学生時代、まちを歩き、地域の人と話をしながら、その地域の課題を調べる活動をしていました。社会人になってからは、都市や交通のデータを扱う仕事に関わっています。まちを見る方法は変わりましたが、地図や数字で見えたことと、実際のまちの様子を行き来することは、今も大事にしたいと思っています。

今回は「街歩きとGIS」というテーマです。GISの操作の話から少し離れて、歩いたときの気づきを、地図と一緒にどう考えられるかを整理してみます。

同じ「駅まで歩く」でも、道の選び方は違う

例えば、家から駅へ向かう道が二つあるとします。一つは距離が短いけれど、歩道が狭く、車を気にしながら歩く道。もう一つは少し遠回りになるけれど、歩道が広く、途中で買い物もできる道です。

急いでいる朝と、買い物をして帰る夕方では、選ぶ道が変わっても不思議ではありません。子どもと一緒に歩く日や、荷物が多い日にも、気になることは変わりそうです。

同じ駅に向かう二つの道家と駅の間に、短い道Aと遠回りの道Bを描いた模式図。道Aは歩道の狭さ、道Bは歩道の広さや途中の買い物など、距離以外にも見る点がある。 道B:遠回りだけれど…歩道が広い・買い物に寄れる道A:近いけれど…歩道が狭い・車が気になる家駅
経路の見方を示した模式図。どちらを選ぶかは、移動の目的や状況でも変わります。

地図上で距離を測ると、二つの道の長さは比べられます。ただ、「どちらを歩きたいか」を考え始めると、距離だけでは足りなくなってきます。ここに、まちを歩いてみる面白さがあると思います。

「歩きにくい」を、もう少し具体的に残してみる

歩いた後に「この辺りは歩きにくかった」とだけ覚えていても、後から誰かに説明するのは難しいものです。そこで、気になった場所と理由を、一緒に地図に残してみます。

「交差点で曲がってくる車が見えにくい」「この区間だけ歩道が途切れる」「駅への入口が反対側にあって、ぐるっと回る必要がある」。同じ歩きにくさでも、中身が分かると、次に見るものも変わります。

交差点の話なら一つの点として、歩道が途切れる区間なら線として、地図に置いてみる。GISで出てくる「点・線・面」という考え方も、こうした身近な記録に置き換えると分かりやすいですね。無理にすべてを点数にするより、まずは自分が何に引っかかったのかを言葉にする方が、後で読み返したときに役立ちそうです。

その際、「平日の夕方」「雨の日」「子どもと歩いた」といった、そのときの状況も少し添えておきたいところです。昼には気にならなかった道が、夜には暗くて歩きづらいこともあります。一度歩いたときの印象だけで、その道全体を決めつけずに済みます。

人が通っている理由は、線だけでは分からない

私はシェアサイクルの仕事で、利用実態のデータやアンケートを使い、自転車の走行空間の整備優先度を考える取り組みに関わってきました。歩行と自転車では違いがありますが、「どこを通ったか」と「その道をどう感じているか」の両方を見る、という点は街歩きにも通じます。

人の移動を地図に重ねると、よく使われる道が見えてきます。ただ、そこを通る人が多いからといって、皆が気持ちよく通っているとは限りません。駅へ向かう道がそこしかないのかもしれませんし、途中に目的のお店があるのかもしれません。

反対に、あまり人が通らない道にも、距離の割に坂がきつい、入口が分かりづらい、といった理由があるかもしれません。「人が多い道を見つけた」で止まらず、なぜその道なのかを考える。そこで、現地で見たことや、使っている人の話が効いてきます。

感じた危険と、実際の事故を重ねてみる

このサイトでは、子どもたちが感じた危険と、交通事故のデータを重ねた地図も紹介しています。地域で記録された気づきと、別に蓄積されているデータを一緒に見てみる例です。

ここで気になるのは、両方が重なる場所だけではありません。子どもが危ないと感じているのに、扱った事故データには点がない場所もあります。そこで「事故がないから大丈夫」と片づけてしまうと、子どもが何に困っているのかが抜け落ちてしまいます。

「何が見えにくかったのか」「どの方向から来る車が気になるのか」。地図を見ながら、もう少し話を聞きたくなる。私は、こうした使い方にもデータを重ねる意味があると考えています。違いがあるからこそ、現地で確かめたいことがはっきりするんですね。

歩いた感覚を、まちの話につなげる

歩きやすさをデータから捉えようとする取り組みとして、ジオテクノロジーズと東京大学・麗澤大学の研究者による「街歩きインデックス」があります。歩行者が選ぶ道順に着目した指標で、同社の2024年3月の発表で紹介されています。

こうした指標を使う場合も、スコアだけで道の良し悪しを決めるより、「なぜここが選ばれているんだろう」と現地を見るきっかけにしたいところです。人の流れと、沿道のお店や道路のつくりを一緒に眺めると、次に調べたいことが出てきそうです。

私が以前「地図のワークブック」で扱った標高の可視化も、まちを眺める一つの入口です。いつもの移動を思い浮かべながら地形を見ると、坂のある区間や、普段選んでいる道を違う角度から考えられます。

街歩きで感じたことは、人によって違っていて構わないと思います。その違いを「人それぞれ」で終わらせず、場所と理由を持ち寄ってみる。同じ地図を見ながら「私はここが気になる」と話せるようになると、まちについての会話も、もう少し具体的になります。

次にいつもの道を歩くときは、少しだけ「なぜこの道を選んでいるんだろう」と考えてみてください。近いからなのか、歩きやすいからなのか、寄りたい場所があるからなのか。自分の移動にも、まちを知る手がかりがありそうです。

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